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西大由 鋳金展
朧銀壷銀河(W27cm×D25cm×H23cm)

西大由 鋳金展
2000年3月3日(金)〜3月7日(火) 会期中無休 午前10時30分〜午後6時30分
最終日は午後4時まで 会期中は作家在廊

武蔵国(東京都、埼玉県など)と甲斐国(山梨県)の境に全山、石灰からなる武甲山という山がある。山の麓に西先生の工房があり、その山の奇異な様が遥かに望める。荒々しく、不気味な姿は、晴れた日より、ぐずついた天気のほうがにあう。工房を訪れたのは、この地を訪れるのに相応しい、梅雨空に夏がもうそこまでといったような日差しが時々さす蒸し暑い日だった。先生のお弟子さんの一人でもある、同行の方が持参の茅ヶ崎で揚がったばかりの魚と好物という酒数瓶が土産になった。

工房には、大きな溶鉱炉のような金属を溶かす窯が土間に据え付けられている。それと燃料に材料となる金属塊がころがる。粘土で原形を作り、鋳型にし、そこに融けた合金を流し込み成型されるという鋳金の作品は、仕上げまで幾とおりもの工程があり、小刀のような道具を使い削られ、磨かれていく。一つの作品が完成されるまでに3ヶ月から半年ぐらいかかるという。その時間とかかる労力は計り知れない。作品から受ける緊張感と凛とした気品は、一つ一つの作品が丹精込めて仕上げられたところからくるのだろうか。

工房を一巡した後、持参の魚を料理し、脇の台所で酒宴となった。先生は、ゆうに一升をあけるという酒豪だそうだが、酔うほどに泰然とした様子となり、まさに大人の風だ。「昨夜、急死した○○君の夢をみたよ」と、かって芸大で教えていたころのお弟子さんの話しとなった。同行の方の旧知な方でもあり、やがて皆、涙を貰ってしまった。

今回は久しぶりの個展となるが、おおらかな形や柔らかな曲線をもつ作品は、作者のますます盛んな創作意欲と鍛え抜かれた技が凝縮されているかのように端然として見える。優しくも厳しい大人、西大由先生のまさに真骨頂だ。
酉福店主 青山益朗


西大由(にし・だいゆう)
1923年 福岡県に生まれる
1948年 東京美術学校卒業 在学中より日展に出品し、特選・菊花賞受賞 審査員等を務める
1989年 日展を退会
第6回高村光太郎賞受賞 日本丸・海王丸の船首像制作 交通文化賞受賞 東京芸術大学名誉教授


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