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立原潮「空想料理館の器たち」展
白磁染付花の字小皿(立原正秋書臨模)

立原潮「空想料理館の器たち」展
2000年9月14日(木)〜9月21日(木) 9月18日(月)休廊 午前10時30分〜午後6時30分
最終日は午後4時まで 立原潮氏在廊日 9月14日(木)〜17日(日)

空想料理館の陶工たち
梅原偉央(うめはら・いさむ) 小栗賢悟(おぐり・けんご) 加藤勝昌(かとう・かつまさ) 加藤西陵(かとう・さいりょう) 可児一広(かに・かずひろ) 川瀬忍(かわせ・しのぶ) 小山岑一(こやま・しんいち) 清水久伸(しみず・ひさのぶ) 田中源彦(たなか・もとひこ) 林英仁(はやし・えいじ)
“梨と鮎の炊き合わせ ごま酷かけ”という料理が、北出昂太郎作の九谷色絵深鉢に盛り付けられている写真を、ある出版物で見た。九谷独特の色彩を用いながらも、白磁の余白を見事に生かし、緑色の龍や鶴、それを取り巻く青や紫の雲が、実にリズミカルに描かれているその鉢の中に、黄金色に仕上がった西洋梨とふっくらと光る鮎が在り、上からクリーム色のごま酢が優しく掛けられていた。美しくて穏やかな印象の料理と器との関係に衝撃を受け、ぜひこの人の料理を食べてみたいと思った。これが、その写真の料理を拵えた立原潮さんとの出会いである。

懐石「立原」は恵比寿にある。“懐石”という従来の和のしつらえではなく、むしろモダンなイタリアンを思わせる店内。潮さんも、グリーンのチーフを首に巻き、同じくグリーンの靴を履いていて、“料理屋の亭主”というよりも“シェフ”というふうである。肝心の料理だが、とにかくそれまでに食べたことのある“料亭風”“懐石風”“割烹風”いずれでもなく、しかしたしかに日本料理であって、自然に生きている素材の個性を上手に引き出し、それから膨らませる料理法である。器も既存の組み合わせとは違い、潮さんならではの美意識で構成されていて、料理の味を誘って来てくれるかのようだった。野菜が豊富にそして巧みに使われている献立のせいか、食後には“腹八分”の心地よさがのこり、精神の隅々まで満足感が行き渡る。なるほど、この店は“感じる”料理店だと私は思った。

この立原潮さんが、一昨年二冊目の本を出した。「立原正秋の空想料理館」という不思議なタイトルの本だ。ある9月、満月の夜、懐石「立原」の秋の夕べに、父親の正秋氏が息子の料理を食べに来る。その夜出される料理は、潮さんが父を思い出し、料理を想って拵えた「空想料理」という名の料理。それは生前正秋氏が食べていたものでもある。この「空想料理」を盛り付ける器だが、父と息子の特別な“秋の夕べ”のために、美濃と関東の陶工10名が器を焼いてくれた。そしてこの9月、潮さんの美意識と陶工たちの創造力の結晶が、「空想料理館の器たち」として、酉福で披露されることになった。
酉福店主 青山益朗


立原潮(たちはら・うしお)
1948年 故立原正秋の長男として鎌倉に生まれる。
父の強い影響を受けて、28歳で料理の世界に入り、京都花背の摘草料理「美山荘」と東京「白紙庵」で修行。
その後、イタリアミラノでも修行を重ねる。
1991年 恵比寿に懐石「立原」を開く。
著書「料理と器 立原正秋の世界」(1994年 平凡社)
「立原正秋の空想料理館」(1998年 メディア総合研究所)

鰯のサンドイッチ(弥七田織部捻梅平鉢)


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