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森一蔵 作陶展 一蔵色絵の世界 新作
釉彩香炉 写真: 小林庸浩

森一蔵 作陶展 一蔵色絵の世界 新作
1996年11月16日(土)〜24日(日)/午前10時30分〜午後6時 会期中無休
最終日は午後4時まで 作家来場日=16・17・18・19日


森一蔵さんのブルーシャトー

森一蔵さんにはいつも驚かされる。今回はフランスの陶芸村にご一緒したときのこと。その陶芸村はボルヌ村といい、フランスのほぼ中央、パリから南へ約二百キロに位置する。白ワインで有名なサンセールの近くと言えば分かりやすいかもしれない。この村は、第二次世界大戦後、廃れていた窯業地だったが、陶土が豊富なことから、陶芸家が一人二人と集まるようになり、いつの間にか色々な国の陶芸家が住む国際陶芸村になった所だ。


青彩赤絵柚子形皿 / 青彩赤絵香炉 / 赤絵山水桃果文盛盞瓶 / 赤絵欧亜山水図大皿
総勢七人、小型バスに乗り込み、パリを出発。フォンテンブローのどこまでも続く野性的な森を抜け、ロワールを下り、ジアンの窯に立ち寄り、そして森と湖のむこうに静かにたたずむヴェルリー城に到着。ボルヌには宿がない。だからこの城がこの日の宿。夕暮れ時、城主である伯爵夫妻は、私たちをカクテルでもてなしてくれた。しばし中世の貴族のよう。

翌朝早くにボルヌに入る。まずは、村の陶芸会長さんの案内で小さな陶芸会館の展示室を見学する。この日、日本人のムッシュー森という陶芸家がこの村を訪れるということは、ちょっとした事件だったらしく、この一帯にアトリエを構える陶芸家たちが、たちまち集まってきた。そして輪になり陶芸談義が始まる。森さん持参の作品アルバムを回しながら、「どんな土を使っているのか?」「窯は?」「ボルヌの陶芸作品をどう思うか?」など次々と質問が飛ぶ。初対面とは思えないほど親しみ、楽しい会話が弾む。陶芸を営む人たちの、国や言葉の壁をとっくに越えている不思議な暖かみを、感じずにはいられなかった。とその時、一人の女性陶芸家が真剣な顔で聞いてきた。「私は、このところ自分の作品に迷いを感じ、しばらく作陶を休んでいるのですが……」。森さんは答えた。「休むより作り続けましょうよ!」彼女はふっ切れてほほ笑んだ。

おもだった陶芸家の窯を訪問した後、会長さんが準備して下さった昼食会に招かれた。会場となった隣村のレストランにはさらに陶芸家が集まり、大宴会になってしまった。いい年格好のご婦人のみで運営されているこの店の"これぞフランス版おふくろの味″と、人をうならせてしまうほどの美味しすぎる料理に、地元メヌトウサロンの白ワインが清涼を添える。とにかく、しゃべった、呑んだ、食った!

宴もたけなわ。私は森さんに締めの挨拶をと促した。すると次の瞬間♪森と泉にかこまれて……″なんと挨拶代わりに森さんは、あの懐かしいブルーシャトーを歌い出したのだ。歓呼。喝采。ブラボー!
酉福店主 青山益朗



森 一蔵 (もり・いちぞう)
1945年、三重県桑名市生まれ。洋画家を志し、東京阿佐ヶ谷美術学園で学ぶ。在学中、アメリカの現代陶芸に触発され志望を転じ、陶芸の道を歩み始める。陶芸家・日根野作三氏、藤沢昇氏に師事。後に古萬古赤絵に出会い天啓を受ける。1974年に登り窯を築き、六石窯を開設。
作品は、オブジェと色絵が中心。大胆な色彩と造形で、古くて新しい陶芸の真骨頂がいかんなく発揮されている。
朝日陶芸展秀作賞受賞及び入選11回
1996年ニュージーランドフレッチャー国際陶芸展入選 他受賞・個展多数


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