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『うるしの器』表紙

阿部出版
ISBN 4-8724-2159-0
定価:2500円(税込)


わかりやすくて、とっても役に立つ漆の本が出ました。

漆に関する本は本当に少ない。これまでの本は、国宝などの美術品を紹介した鑑賞用のものがほとんどだ。漆のことをもっと知りたいと思っても、雑誌の簡単な特集や展覧会の図録に付された資料などを頼るしか、一般の人には方法がなかったといってもいい。10月12日に阿部出版から発売される『うるしの器』という本は、こうしたニーズに応える絶好の内容になっている。漆器ファンにぜひ紹介したいと思い、編集部の中村勝樹さんにお話を聞いた。

インタビュアー 岡崎 保 okazaki@japan-urushi.net


中村勝樹さん
中村勝樹さん
炎芸術
「炎芸術」阿部出版

阿部出版は「炎芸術」という陶芸の雑誌を出している会社で、やきものファンにはお馴染みの出版社だ。その阿部出版が漆の本を出す理由を、中村さんはこう説明する。

「割れた陶器を、漆を使って修復する金繕いという技法があります。これがいますごい人気なのです。教室はどこも大盛況です。愛着のある器なので、何とか修理して使いたいという思いと、金繕いの味わいみたいなものが好まれているんでしょう。こういったご時世も背景にはあるかもしれません。そこで、金繕いの解説書があるかと思って見回してみると、これがないんです。それどころか漆についての解説書が非常に少ない。カルチャーセンターで漆芸を習っている人は多いし、東急ハンズに行けば漆芸キットが売られている時代に、これはどうしたことか。そこで漆器作りをわかりやすく解説した本を出そうということになったわけです。わが社はこれまで陶芸の本を中心に出してきましたが、考えてみると金繕いは陶器と漆の接点です。これが成功すれば漆の本の第2弾、第3弾もあり得ます。」

早速本の内容を見てみよう。

P6・7 見開き

巻頭は「うるしの器がある暮らし」と題され、漆器を実際の生活に取り入れている人を3人取材している。実際に料理を盛りつけた例なども紹介され、こんな漆器ライフを送りたいと思わせられる。

第1章は「うるしの知識」で、漆の歴史や科学、産地などが手際よくまとめられている。

そして第2章からがこの本の見せどころである。木地作り、塗り、蒔絵、金繕いなどについて、プロセス写真を多用しながらわかりやすく解説している。「本を見たって漆はできない」という常識に真っ向から挑戦していて、成功しているのだ。工程がよくわかるから、実際に漆芸をやっている人に役立つのはもちろんだが、製作への理解は、漆芸作品の鑑賞をも深めるだろう。

P6・7 素敵な漆器ライフが紹介されている


P54・55 桜文の平蒔絵
P70・71 金繕いの下地作り

第5章は、いま漆に熱中している人やカルチャーセンターをルポし、あわせて教室ガイドも行っている。
巻末は資料編で、Q&Aや全国美術館・資料館ガイド、漆の用語解説、材料店リストなどの情報が網羅されている。

こうして見てくると、この本は「見る本ではなく使う本」であることがよくわかる。ぜひ本屋さんで手にとって、内容を自分の目で確認することをおすすめする。

連絡先:阿部出版 TEL03-3715-2036

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