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本のタイトルは『<産地別>すぐわかるうるし塗りの見わけ方』。
これでもう説明は不要だが、輪島の漆器はどういうものなのか、会津塗りの特徴は何なのか、それらをわかりやすく解説し、読んでいるうちに漆の知識がどんどん増えるという仕組みだ。
取り上げられたのは北は津軽塗りから南は琉球漆器までの31の産地。外国もタイやミャンマーなど6つの産地が取り上げられている。だから旅のガイドでも読むようにこの本を読んでいくと、楽しく、自然に漆のことがわかるのだ。
まず旅の準備として、漆器の木地や工程、技法についてざっと説明してある。あまりくどくど説明が続くと教科書みたいで退屈してしまうが、必要最小限に手際よくまとめてあるので、さっと頭に入る。
さあ、出発進行。何も北から順番に読まなくてもいい。好きな場所を選んで、読み始めよう。たまたま「川連漆器」のページが開いたので、そこを読んでみよう。
川連が「かわつら」と読むことに軽く驚き、稲庭うどんで有名な秋田県稲川町にある地区の名前であることがわかる。ここの漆器は椀を主流にし、丈夫で実用的だとある。代表的な川連漆器の写真が載っているので、さもありなんと納得できる。
さらに、下地が渋下地であるのが特徴だと書いてある。渋下地? すると次ページのコラムを読むように指示があり、またまた納得する、という具合なのだ。下地から加飾までの工程がチャートで説明してあるので、この川連の4ページだけでかなりの知識が得られるし、その土地と漆器がずいぶん身近になったような気がする。
一つの産地が見開きか、あるいは2見開きで処理されているので、旅はどんどん進む。わかりやすく楽しい分、内容が軽いのかというと決してそうではない。たとえば蒟醤(きんま)という技法を知っている人はかなりの通だが、蒟醤の意味が「もともとは東南アジアからインド地域で好まれるガムのような嗜好品のこと」と知っている人は研究者のレベルだろう。こうした上級の知識がさりげなくちりばめられているのである。
巻末には用語解説や学校・各種団体の情報ページなどもあり、そのへんは怠りない構成になっている。漆入門はまず買って使うことから始まるが、何を買うかの実用書としておすすめしたい。
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