「睡眠用の枕としてはちょっと高いかもしれません。酒宴の友ですね。
お酒を飲んでいい気持ちになったら、ちょっと横になりたくなる。そんなときに脇の下にでも入れてもらうと快適だと思ったんです」
気の置けない、くつろいだ酒宴の光景が一挙に目に浮かぶ。小ぶりの枕は子ども用か。そう思ったとたん、車座になった大人たちの間を子どもたちがはしゃぎまわっていた。
枕かあ、すごいなあ。

まつり鉢 |
酒宴からの連想だと思う。「まつり鉢」には酒を入れたいと思った。ひと抱えもある大きなブナコの鉢である。これになみなみと酒を満たし、各人が勝手に杓で呑むのである。
工藤さんがすぐ賛成してくれる。
「桜の季節なんか、花びらが浮かんでいたりして」
いい。すごくいい。

飯椀 |
ブナコというのは、木の皮を幅1センチほどの紐状にして、それを巻いて形を作る技法である。巻尺を固く巻き、中心を押して凹ますとコマのような形になるが、あれを想像してもらえばいいだろう。それを漆で固めるのである。
どんな形も作れるし、ロクロにはない歪みが出て面白い。工藤さんは敢えて整形しないで、ぎざぎざを残している。「飯椀」もブナコだ。
ところで、鉄とのコラボレーションだが、「まつり鉢」の脚を見てもらいたい。ブナコの回転のイメージをそのまま脚にも伝え、ねじれたようになっている。
工藤さんのパートナーであるかおるさんが説明してくれる。
「金属はどうしても固くて、四角四面のイメージが強い。でも、いくらでもやわらかくなるということを見せたかったんです。
このテーブルも、脚の曲線に合わせると、こういう形になってしまいました」

「Tohu」 |
そのテーブルの題は「Tohu」。はてな?
「豆腐を置いたとき、自分の重さで、こう、歪むでしょう。だからTohu」
くだらない、などといってはいけない。これはデザインというものの、かなり本質に関わる発言といっていい。
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