職人魂 「北原 久 漆芸展」」
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輪花盆
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北原さんの話し方はとても耳に心地好い。少ししゃがれた声、丁寧に話してくれるのだが、テンポや抑揚がどこかザックバランなのだ。談たまたま経歴の話になり、「私は最初、職人でしたから」といわれ、膝を打った。まさしく職人の話し方なのだ。
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北原 久さん
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話し方だけではない。恐らく、いまでも北原さんは「職人」であり、北原さんの作品に脈打っているのは職人魂ではないか。
現在は丁稚奉公という制度は廃れ、職人といえども独立して問屋から仕事を請け負う。しかし北原さんたちの時代は、漆問屋に住み込んで修行した。北原さんの48年の漆人生の、最初の12年間は丁稚奉公だったのだ。これで、だいたい一人前になった、と北原さんはいう。
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入隅二段食籠
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独立して、職人としての仕事をしながら、少しずつ自分の作品も作り始めた。例えば1個100円で1日100個、毎日毎日同じ作業を繰り返す、これが職人仕事である。それに比べ、作りたいものを自由に作り、しかもそれが売れるのだから、
作家としての仕事の喜びは大きかった。仕事の比重が次第に職人から作家のほうに移った。そして、この20年あまりは作家一本でやってきた。しかし、繰り返すが、北原さんの本質は職人であり、職人としての自信が、面白い名言や断言を生む。北原語録を紹介しよう。
「私、工芸の世界は50%以上職人の世界だと思ってます」 「2、3年、先生に習って、『私、漆芸作家です』なんていわれたってねえ」
「一つのものを覚えて、そこから仕事を崩すことはできるけれども、最後までできない人が、最後までしないで、『面白いものができた』じゃ、話が違う」
「5回塗って完成する作品を10回塗ったからといって、そんなの意味ないし、5回で終わらせる技術がないだけのことですよ」
こういった話を聞いた後に、もう一度会場を一巡すると、なるほどと納得できる。今回は茶道具中心の展示だが、浮ついたところは微塵もない。色や技法は多彩で、
特に彫漆(漆を幾重にも塗り重ね、文様 を彫り出したもの。文様に金を入れれば沈金)を
得意とするようだ。 一枚板から掘り出した盆などは半永久的に使えるのではないか。すべての作品にいえることだが、形に崩れはなく、加飾もほとんどない。道具に加飾はいらないというのが北原さんの考えであり、北原さんの所属する国展の立場だ。瓶子や燭台、厨子など、普段の漆芸展ではあまりお目にかからない作品が展示されていて、目を引いた。
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湯斗
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最後にお詫びを一つ。諸般の事情で取材が遅れたため、このリポートは会期 にぎりぎりか、間に合わない可能性もある。北原さんの作品に接する次の機会は、11月初旬に東京・渋谷の「べにや民芸店」で開催予定の展覧会で、こちらは食器中心の展示になるそうだ
。
「北原 久 漆芸展」は2001年8月17日(金)〜8月23日(木)まで、京王百貨店新宿店(tel03-3342-2111)の6階、京王ギャラリーで開かれている。10時〜20時、
最終日は16時まで。北原さんは会期中は基本的に会場にいる。
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