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漆の可能性を拓く 「木と暮らす 漆と暮らす」
中村繁和作品展
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「あれ、盆の縁が欠けている」と思ったのは、こちらが固定観念に囚われていたからだ。中村さんにいわせれば「まん丸な盆ばかりではつまらないと思って」ということになる。普通なら縁の凸凹の部分は切り落とし、ひとまわり小さい盆にするだろう。しかし中村さんは、「せっかく木肌の味があるのに、自分の都合だけで丸くする必要はないんじゃないか」と思ってしまうのである。
中村さんはいま、「漆はこうでなければならない」という約束事をさまざまな面で見直そうとしている。
たとえば、漆の世界は分業の世界だが、中村さんは木地から自分で削る。木工への関心が強まり、自分のオリジナルな造形を目指したくなるのは当然だろう。形を重視すれば、加飾は排除され、色使いもシンプルになる。木の質感を塗りつぶす従来の技法にも抵抗を感じ、欅や檜だけではなく、栃や栗の質感も大胆に取り入れている。また、漆の展覧会ではあまりお目にかかったことがない燭台が展示されている。
漆と木という素材は、もともと火に弱い。しかし、あえて燭台を作り、展示することで、逆に「こういうのは漆で作れないのか」とお客さまのほうからテーマを投げかけられるという。
こうした方向性は、職人的な完成度とは別の行き方で、工芸の王道とはいえないだろう。どちらかといえば損なやり方である。そのことは中村さん自身十分認識している。
「自分の《いま》を出したい。僕が見て面白くないものを、人が見て面白いと思うのか、という気持ちがあるんです。作っていく過程も楽しく、でき上がりも一つ一つみんな違う、そういう仕事が、いまの自分には合っているような気がします」
蒔絵にあこがれ、漆芸の世界に 入った中村さんだが、乾漆を経て、いま関心の比重は木工のほうに移りつつある。これからも興味の対象は変化するだろう
が、中村さんが「作家」であることは、一貫して変わらないだろう。
「木と暮らす 漆と暮らす」中村繁和作品展は2001年5月9日(水)まで、横浜市戸塚区名瀬町(最寄り駅は横須賀線の東戸塚)の茶房&ギャラリー「こうづま」
(?045-811-3844)で開かれている。営業時間は10:00 〜 18:00。
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