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今年一番の暑さの中、創業明治41年の老舗「菓匠 寿々木(すずき)」http://www.wagashiya3.com/を訪問した。原宿店はこの地にオープンしてから19年が経つ。その間いろいろな催しを行ってきた。陶磁器・ガラス・布などの工芸品の展示会をはじめ和楽器・外国の民族楽器の演奏、お正月には獅子舞、パントマイムまでと実にさまざまだ。

今回ここにご紹介する「夏の茶会展」は特別な意味を持っている。1998年から企画展を始めてちょうど今回が100回目の記念すべき企画展なのである。出品作家は漆・金工・陶・染織・竹・ガラス・書などの分野から総勢23名。今までにここで企画展をした作家がほとんどで、まさにこれまでの集大成ともいうべきものである。店長の矢部照美さんと月に一度企画を担当している石川恭子さんが合同で企画した。


テーブルの上の作品たち
石塚さんの栗板皿(四角) ・大滝さんの漆松皿(楕円)・垣沼さんの乾漆盃

今回漆作家は3名。早速作品を見てみよう。

店に入ってすぐ畳の部屋がある。お客様にお茶とお菓子を味わっていただくためのゆったりとした贅沢な空間である。

「夏の茶会展」のためにお座敷のまんなかにテーブルを置き、そこに作品が並べられている。

ガラス、金工の中に石塚淳子さんの「栗板皿」・大滝正明さんの「漆松皿」・垣沼旗一さんの「乾漆盃」がある。大滝さんは木竹の作家だが今回漆を使った「漆松皿」も出品している。この「漆松皿」は、流木の弱っているところを取り除き使えるところだけを長い長い時間乾燥させたというだけあって、小品ながら木の力強さを充分感じられるもの。

石塚さんの作品
花器・銀彩茶器・銀彩しょうゆさし

垣沼さんの作品
乾漆茶器・木彫「そらまめ」
そらまめの蓋を開けると…びっくり!

そのお座敷の隅に石塚淳子さんの作品がある。素材の質感を生かすためなのか漆は厚く塗られていない。木の削り跡が優しく、シンプルだが形へのこだわりが良くわかる。

お座敷はさらに奥へと続いている。茶室「葉々菴」だ。

入ってすぐ左側の棚に垣沼旗一さんの乾漆茶器と木彫「そらまめ」がある。垣沼さんは村上木彫堆朱を学ばれた方。村上木彫堆朱とは新潟県村上地方の伝統工芸で、木に彫刻を施しその上から漆を何度も重ねたもの。「そらまめ」や「干柿」の細密な彫刻の技術には本当に驚かされる。

柿沼さんの作品 乾漆茶筒「果実」

乾漆茶筒「果実」の中

が、しかし垣沼さんが本領を発揮するのはの乾漆の仕事である。何種類かの朱漆を使い分け、重ね研ぎ出していく。そうして模様を出していく。総じて層文という。外から見てもとても美しいこれらの乾漆茶器の中には別世界が広がっている。柿と葡萄・南瓜の彫刻や螺鈿の鈴虫もいる。

なぜこんなことが出来るのか?垣沼さんの作品はいずれもルーペで覗いてみたいが、また違う世界に引きずり込まれそうで怖い。怖いほど繊細である。

柿沼さんの作品
乾漆茶器「鈴虫」 ため息がでそうな美しさ

鈴木さんの作品 籃胎盛器2点と水指

鈴木さんの作品 籃胎茶入

鈴木寛さんの作品のこの上品さはどこから来るのか?この器に季節の菓子でも盛ったらさぞ美しいだろうなと思う。竹を網代に編んだ上から漆を塗っているので手に持てば軽い。形は見過ごされそうなほどシンプルなのに大きな存在感を感じる。盛器の底が水面のように穏やかで侵しがたい気品を備えている。鈴木さんは、一方で細かい細工の作品も作られる。籃胎の本体の上に螺鈿や卵の殻を埋め込んだ鷺の柄の蓋がのっている茶器も出品されている。


今回の「夏の茶会展」では9日・10日・11日の3日間のみ、出品作品を実際に使ってのお茶会が催されるが、あいにくどの日にちも既に満席だそうだ。しかし作品を見にぜひ足を運んでいただきたい。外の暑さを忘れる涼しい風がこの空間には吹いている。


葉々菴の空間 第100回記念 夏の茶会展
2002年8月8日(木)〜13日(火)
営業時間11:00〜19:00 (最終日18:00まで)
お問合せ
渋谷区神宮前1-15-4 ブラームスの小径ルセーヌ3号館
Tel/Fax03-3404-8007


石塚 淳子 プロフィール
1970年 埼玉県浦和市生まれ
1993年 東京芸術大学美術学部工芸科卒業
1995年 東京芸術大学大学院漆芸専攻修了
個展・グループ展等多数

垣沼 旗一 プロフィール
1949年 小樽市生まれ
1967年 堆朱彫師 坂部松泉に師事
1970年 堆朱塗師 富樫助次に師事
1978年 村上高等職業訓練校漆器科指導員 現在に至る
1979年 第14回全国漆器展、日本漆器協同組合連合会理事長賞受賞
以来、各種コンクール等入賞多数
1982年 村上堆朱事業協同組合青年部会長
1983年 村上堆朱事業協同組合理事 現在に至る
1987年 創意工夫功労により科学技術庁長官賞受賞1
988年 卓越技能者として新潟県知事表彰
1989年 村上市褒賞受賞 伝統工芸士の認定をうける
1992年 新潟刑務所受刑者更正指導員

鈴木 寛プロフィール
1950年 神奈川県生まれ
1992年 淡交ビエンナーレ茶道美術展入選

日本工芸会会員・神奈川県横浜市在住

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