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死なんように食えたらいい
「山本隆博 ぬりもの展」



銘々皿・茶托・豆皿


山本隆博さん

面白かった。
小泉首相の「感動した!」ではないけれど、面白かった! 山本さんの話は説得力があり、また歯切れがいい。

「これだけは書いておいてください。目標は別にないけど、死なんように食えたらいい、と」

こんなことをいう作家がいるだろうか。この面白さをお伝えするには、記者がゴチャゴチャいじるべきではない。山本さんの言葉をそのまま載せるのがいちばんである。


掛花入れと
隅切サイドテーブル(試作品)

亀甲扁壺(大)

■「日常に使う器は、毒にも薬にもならないようなものが気取らなくていいんです。個性的なものはヤニがあって面白くない」

■「どんなものを作りたいかといわれれば、品のないものは作りたくない。それだけです」

■「漆で作らなくてもいいようなものまで漆で作っているのをよく見かけます。でも分野、分野があって、何でもかんでも作りゃあいいってもんじゃないでしょう。等身大がいちばんです。自分が作りたい、使ってみたいというのが基本ですから。世の中広いもんで、1億人ぐらいいる中には、自分が作ったものがいいといってくれる人もいるんじゃないか。たくさんはいなくていいんです。みんなに好かれようなんて思わないことですよ」

■「ぼくを売り込みたいとは全然思わないんです。作品が残らなくても平気です。逆に、後世に自分の作品を残したいなんていう人が多いことに驚きます。残ったら残ったでいいし、展覧会に出品したこともあるし、賞をいただいたこともあるんですけど、結局、原価計算なんかしちゃうんですよ。向いてないんでしょうね」

■「(若い人の漆離れについて)そんなに心配してないです。もともとそんなに売れる商売ではないし、いま漆を買ってくれている50代、60代の人も、若いころは漆器が欲しいなんて思わなかったでしょう。この個展だって、買ってくれる人にたくさん来てほしいとは思いますが、特に若い人に来てほしいとは思ってません」

■「日本産漆がないという人がいます。それは嘘です。現状はたくさんあります。売れないからあまってる。中国産が今年は100トン弱、日本産は1トンです。これも悲しい数字ですが、もっと悲しいのは、この1トンがあまっているということです。ないという人がいるなら、ぼくがいくらでも紹介します。ただ、ぼくは中国産より日本産がいいといってるわけじゃない。ぼくがいちばんいいたいのは、日本産だ中国産だと、知りもしないでいい悪いをいうなということです。日本産なんか使ってもしょうがない、あんなのどこがいいんだ、そういう人がいたっていいのに、だれもいわない。世間が日本産じゃなきゃあというと、みんな日本産にこだわる。少しは自分の眼で確かめたらどうか。ガス窯で焼いてる人間国宝だっているじゃないですか」


いかがですか。面白いでしょう。もっと面白い話もあるのだが、ちょっと文字にはできない。取材者の役得ということで、あしからず。

肝心の器はどうだったのか。実に明快な器だった。山本さんは面取りが好きだそうだが、輪郭がシャープで、すがすがしい。これが山本さんがいう「品」なのかもしれない。じっと見ていると、メッセージなど何も発してやらないぞという声が聞こえてくるような器だった。

茶入(大小)

こんなふうに形容詞を並べていると、また山本さんの言葉が浮かんできた。

「評論家はいくらほめても、買わないからね」

「山本隆博 ぬりもの展」は2001年11月26日(月)〜12月2日(日)まで、東京・西麻布の「染司よしおか」(TEL03-3478-0737)で開かれている。11時〜19時。

なお、今回はご本人の希望で、プロフィールは割愛させていただきます。

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