|
陶器は、織部・志野にしろ素材が土である為、形が自由で数多くの名品が作られている。漆器は木を素材にする為、指物師か挽物師に頼んで形を作り、丸か角でしかない。
金沢県立美術館の九谷の資料室で輪つなぎの形をした品の良い銘々皿を見た時、この形なら漆でも作れると思い作った作品がこの朱漆尻向付である。始め、ロクロで薄く挽いた同じ形をした木地を20個作り、それぞれ中心から5mmはずして切り離し、大きい方どうしを向かい合わせにくっつけ10個の作品にしたのがこれだ。切り離した残りの木地は、5個をつなぎ梅形にして仕上げ、お菓子を入れて使っている。木地の段階で切り離し、くっつける方法は無限に形の大きいものが作れる。私は一時期この方法で多くの作品を作った。
この尻向付は、日本の女性のお尻の形に似ているのでその名にしたが、触れば気持の良い器で、特に、鱧や赤貝の新鮮な刺身を入れて客に出すと朱と形、中身の刺身との調和が良く、喜んでいただける器となった。
鈴木 睦美
|