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私の好きな私の作品
Vol.4 「鈴木睦美作・黒定小鉢」


器は、食べものを少しでもおいしく食べたいと願う人の知的欲で作られ、それらが淘汰されて残ったものが文化である。

日本にも乾山、仁清、柿右衛門などの名工が生まれ、彼らの名品が日本料理に華を添え日本文化を作っている。

中国宋時代の器は、大変上品で手にして軽く、内側に豊かさがあり、丁度の厚み、丁寧な糸底の仕事の仕上げ、総て完璧な美しさで作られている。私の30代、そして今も変らないが、宋時代の文化に魅せられ、その時代の器に出会ったときにはできる限り見る、触る様にしている。

4年前、台湾台北の故宮博物院で長年院長をされていた秦孝儀院長の退官記念で宋代特別展が催された折、展示されているお軸の説明のためのディスプレイとして机が置かれ、その机の上に宋代の硯石と共に私の朱塗三方小鉢1点が展示されていた。そして私が天にも仰ぎ恋こがれている静かで温かい汝窯の水仙盆が、その机から7m程の近さで展示されており私の作品と同時に見る事ができた。いつも徽宗皇帝(北宋王朝 八代皇帝・芸術を厚く保護したことで知られる)が生きておられたら使っていただける漆を作りたいと思っている私にとって、院長先生のこのご好意には作家冥利を感じた。

そして日本に戻り、夢中で喜び作ったのがこの黒定小鉢である。厚み、重さ、全部の仕事が一貫して何の無駄もなく、素直に仕上り、もうひとつレベルの高い世界に入るチャンスを与えてくれた貴重な器である。

鈴木 睦美



鈴木睦美 略歴
主な国内個展
1975年 京都高島屋(以降78・83・86・88・91・94・2000年)
1995年 銀座和光ギャラリー(以降95・97・2000年)
1996年 南青山酉福(以降98・99・2000年)
2000年 「うつわをみる」展出品
(東京国立近代美術館)
2001年 「京都の工芸」展出品
(東京・京都国立近代美術館)
主な海外展示及び展覧会

ストックホルム国立東洋博物館
コペンハーゲン王立工芸博物館
ブリュッセル王立歴史博物館
ケルン市立東洋博物館
シッツトガルト州立リンデン博物館
ロンドン ヴィクトリア&アルバート博物館
台北市立美術館
オックスフォードアシュモリアン博物館
フランクフルト工芸博物館
サンフランシスコ東洋博物館
ジゼルクローエギャラリー(ブリュッセル)
E&Gフランケルギャラリー(ニューヨーク)
メトロポリタン博物館
メキシコシティー現代文化センター
ハンメリンナ美術館
ほか

作品収蔵
ニューヨークメトロポリタン博物館
ニューヨーク近代美術館
サンフランシスコ東洋博物館
ロンドン ヴィクトリア&アルバート博物館
ストックホルム国立東洋博物館
宮内庁
ほか10の博物館

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