| 北國新聞 2002年12月3日付
日本芸術院(犬丸直院長)は2日、平成14年度の新会員を発表し、石川県内から漆芸家で日展参事の三谷吾一氏(83)=輪島市河井町=が選ばれた。県内在住者の芸術院会員は、1979年の洋画家高光一也氏(86年死去)、84年の陶芸家2代浅蔵五十吉氏(98年死去)、99年の陶芸家大樋長左衛門氏に次いで4人目。県内で複数の会員が活躍するのは16年ぶりとなる。
日本芸術院は、功績の著しい芸術家を優遇するための栄誉機関で、第一部(美術)、第二部(文芸)、第三部(音楽・演劇・舞踊)で構成されている。三谷氏は補充選挙で第一部の過半数を得て内定が決まった。そのほか新会員には、8人が内定した。12月15日に遠山敦子文科相から発令される。
三谷吾一氏は沈金人間国宝前大峰氏らのもとで修業を積み、日展を中心に活躍した。輪島塗を代表する伝統的な沈金技法に、ざん新な構成と詩情あふれる色彩とを融合させた独自の作風は高く評価されている。
現在は、現代工芸美術家協会顧問、財団法人石川県美術文化協会相談役などを務め、国内工芸界の重鎮として後進の指導に当たっている。
県出身の芸術院会員は現在、工芸の蓮田修吾郎氏(神奈川県、金沢市出身)一人で、故人ではこれまで、泉鏡花(小説)、徳田秋声(同)、谷口吉郎(建築)、松田権六(漆芸)、松田尚之(彫刻)、宮本三郎(洋画)、室生犀星(小説)、吉田三郎(彫刻)の各氏が就任している。
三谷吾一氏
芸術院入りは大変な名誉であり、長年の念願でもあっただけに、身の引き締まる思いがする。輪島塗の伝統的な技を基本とし、常に新しいことに挑戦してきたつもりだ。今後はさらに精進を重ねて独自の境地の深化を目指し、漆の技術の継承、普及にも力を尽くしたい。
みたに・ごいち
本名・三谷伍市。1919年2月、父忠作、母みよの五男として誕生。高小卒業後、沈金師・蕨舞洲、前大峰に師事。42年、第5回新文展初入選。66年と70年、日展で特選北斗賞。75年日展会員。84年に北國文化賞受賞。日展評議員就任。88年日本芸術院賞受賞。89年に日展理事に。90年紺綬褒章受章。91年県文化功労賞。93年勲四等旭日小綬章。02年日本芸術院会員に内定。現在、日展参事、県美術文化協会相談役。現代工芸美術家協会顧問、輪島塗技術保存会会長。
|