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吾輩は漆器である。名前はいろいろあるが、この際、どうでもよい。
今回吾輩に挑戦状を叩きつけてきたのは、菱田美沙、光彦姉弟と、光彦氏の女友達の山本浩美嬢の計3名である。
送られてきたメニューを見ると、韓国風とかケベック風とか、あげくの果ては無国籍などと、吾輩をケムに巻こうとするコンタンが見え見えである。しゃらくさい、敢然、受けて立つことにした次第だ。

菱田美沙さん
菱田光彦さん
山本浩美さん

まずはメニューから紹介しよう。コンセプトは「お酒に合う料理」だそうだ。
以下の料理を吾輩に盛りつけようというのだから、繰り返すが、しゃらくさいではないか。

◇無国籍風変わり寿司
・鮭ハラス軍艦巻き
・アボガドディップ軍艦巻き
・プチトマトのサルサソース軍艦巻き
・霜降り牛冷しゃぶ握り
・スモークチーズとタケノコ握り
・生ハムと貝割菜握り
◇ケベック風肉団子入りクリームシチュー
◇韓国風鶏肉ニンニクみそ焼き
◇水菜のシーザースサラダ
◇杏仁豆腐
◇フルーツとチーズの盛り合わせ
◇ビンガー(ブラジルのスピリット)
◇白ワイン

台所で奮戦中

フリージアのコントラストが素敵!

黙々と作業をする光彦氏

無国籍風(?)軍艦巻

厨房を偵察する。大柄な光彦氏が前日から作っているシチューを温める。浩美さんは鶏肉を焼く。てんてこ舞いである。

朱溜塗りの鉢をワインクーラーと花器に使っている。フラワーアレンジメントは浩美さんだそうだ。

食前酒のグラスのことで、何やらもめている。

ビンガーはサトウキビから作ったスピリッツで、ブラジルを代表する庶民の酒だそうだ。グラスの中でライムをつぶし、そこに水と氷で薄めたビンガーを注いで飲む。

美沙 ライムは切子のグラスに浮かべるの? 3個しかないよ。
光彦 いいよ、これで。
浩美 これはワイングラス。ワインは別に飲むでしょう。
美沙 あなた、2個もってくるっていったじゃない。
光彦 あるかもしれないっていっただけだよ。
浩美 じゃあ、どうするの!
光彦 すごく小さいアンティークのグラス、あったじゃない?
美沙 あれだとライムが入らないよ。
光彦 ライムはべつに浮かべなくてもいいよ、しぼっちゃえば。
浩美 浮かべたほうがいいよ。いいじゃない、2個で。



女性2人との議論に敗れた光彦氏は、黙々と寿司を作る。

「この家の包丁がもう少し切れれば、この鮭をスパッと切って握りにするんだけどなあ。こう崩れるんじゃ、軍艦巻きにするしかないよ」

黒溜塗漆俎板皿に寿司を盛りつける。

浩美さんは本朱漆椀にシチューを盛りつける。

この「ケベック風肉団子」というネーミングは解説が必要だ。光彦氏はこう語る。

「仕事(映像プロデューサー)で外国にはよく行きます。カナダにも行ったことがあります。ただ、このシチューは、八ヶ岳にあるケベック料理の店で食べたものをマネしたのです。ケベック風とは何のことなのか、ぼくもわかりません。肉団子にシナモンを入れますが、それのことかなあ。いつもはトマトソースかデミグラスソースにしますが、今日は朱の漆椀なので、あえて白にしてみました」

美沙さんのお父上作のお皿に盛られたシーザーズサラダ

韓国風鶏肉ニンニクみそ焼き

杏仁豆腐

フルーツとチーズ盛り合わせ

シーザースサラダができた。卵をまぜて食す。このメニューを西麻布の店から盗んだのは美沙さんだそうだ。解説してもらおう。

「真似したといっても、カリカリベーコンをのせたのは私のアイデアです。卵も、もしかしたら温泉卵のほうがと思って試してみましたが、半熟のほうが黄身がよくまざって、おいしいの。この皿は、実は私の父がデザインしたものなんです。父は武蔵野美術大学で彫金を教えていました。漆も少しやっていたのです」

漆にしては厚手の、どっしりとしたいい皿である。


銀朱洗朱漆皿(大)に盛りつけられたのは韓国風のみそ焼きチキン。さっき浩美さんが焼いていたものだ。フルーツとチーズの盛り合わせとデザートの杏仁豆腐も完成して、ビンガーで乾杯。

みんなで乾杯!



美沙 ふだん漆器は、積極的には使ってないかもしれないね。
浩美 モドキは持ってるけど、本物は持ってない。あったら使うと思う。
美沙 実家ではよく使ってたのよ。でも、セントラルヒーティングの家にしたら、みんなヒビが入っちゃってねえ。でも、木のぬくもりっていうのかしら、いいわよねえ。



吾輩は漆器である。
扱いが難しいといわれるのが、吾輩はいちばんつらい。しかし、今日なんか、うまく使われてしまった。もともと吾輩はウツワが大きいから、韓国だろうとケベックだろうと、みんな受け入れてしまう。和風専門というわけではないことを、声を大にしていいたい。

というわけで、今回は3人のチャレンジ精神と吾輩の度量の大きさがあいまって大成功、ということにしておこうではないか。

取材後記

クリームシチューはぜひ自分でも作ってみたいと思いました。撮影のため、冷めてしまったのが残念でした。水菜のサラダは我が意を得たりの一品。前々から水菜は生にかぎると思っていたのです。酒呑みにはたまらない食卓でした。ごちそうさま。

●●●うるしネットかんたんレシピ(4人分)●●●
●ケベック風肉団子入りクリームシチュー
肉団子
豚ひき肉 300g
タマネギ 中1個
大葉 3枚(みじん切り)
パン粉 大さじ3
シナモン 小さじ1
塩・こしょう 少々
野菜
ニンジン 小1(輪切り)
ブロッコリー 1/2 房
キャベツ 4枚(ざく切り)
生しいたけ 2個(薄切り)
ホワイトソース
バター 30g
小麦粉 大さじ4
牛乳 650cc
コンソメキューブ 1個
■作り方
1. 肉団子の材料をすべてまぜ、よく練って肉団子を作る。それに電子レンジで火を通す(約4〜5分)。
2. 野菜は別にゆでておく。
3. ホワイトソースは、弱火でバターを熱し、小麦粉を徐々に加え、こがさないようにのばす。牛乳を加え、コンソメで味を整える。
4. ホワイトソースの中に肉団子野菜を入れて、ひと煮立ちしてでき上がり。

●韓国風ニンニクみそ焼きチキン
材料その1
鶏胸肉 1枚
ニンニク 1かけ(薄切り)
材料その2
ニンニク 1かけ(すりおろす)
韓国風みそ 大さじ1
ごま油
しょうゆ
各少々
(韓国風みそは高澤酒造製「明洞醤」を使用。コチジャンでも可)
■作り方
1. 鶏肉の皮を取り、半分に薄く切る
2. 材料その2をまぜ合わせ、鶏肉の切った面に塗る。間に薄切りのニンニクを並べ、2枚の鶏肉でサンドする。
3. 肉の両面に軽く塩・こしょうを振る。
4. ごま油を熱し、肉の両面を焦げ目がつくまで焼く。
5. 酒をまわしがけして、1、2分フタをする。肉を裏返し、さらに2分間、蒸し焼きにする。

●水菜のシーザースサラダ
水菜 1袋の4/5 (3cmくらいに切る)
ベーコン 50g(カリカリに炒める)
2個(水からゆで、沸騰後1分の半熟)
ドレッシング 1/3 C
オリーブオイルとベーコンを炒めた後のオイル、合わせて大さじ2
レモン汁 大さじ1+小さじ1
バルサミコ 少々
粉チーズ 小さじ2(ゴルゴンゾーラなどブルーチーズ系が望ましい)
ニンニク 1かけ(すりおろす)
しょうゆ 2滴
塩・こしょう 少々
■作り方
1. 水菜の上にカリカリベーコンをのせ、脇に卵を飾る。
2. 材料をまぜ合わせたドレッシングをかける。
3. ドレッシングとサラダの材料を混ぜ合わせれば出来上がり。

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