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うるしクッキング 第5回 美女あり、方々より来る

うるしクッキングも回を重ねて第5回目を迎えます。場所は偶然にも前回と同じ東京・月島。

今回応募してくださった川崎丹奈(にな)さんが、ご自分が住む高層マンションのゲストルームを借りて、"漆器パーティー"を開くという趣向です。

集まったのは川崎さんの友だち5人。ベルギーから日本に来ている漆ファンも参加するとのことで、おもしろい話が期待できそうです。川崎さんが考えに考えたレシピのコンセプトは「手でつまめるもの」。

どんな料理が出てくるか、こちらも楽しみ。




■今回、参加された方々
川崎丹奈さん
今回の主宰者。フリーでアート関係の仕事をしている。フランス留学や東京国立博物館勤務の経験あり。
上原祐香(ゆか)さん
川崎さんが以前勤めていた会社の同僚で、現在もボランティア仲間。
北村明子さん
上原さんの後輩。
久留島有香(ありか)さん
川崎さんのお茶の稽古仲間。
矢作(やはぎ)志乃さん
川崎さんのお茶の稽古仲間。
パスカル・シナーブさん
7年前に仕事でベルギーから来日。川崎さんが以前勤めていた会社の同僚。アクシデントで遅れて参加した。



33階の会場に入ってまず驚いたのは、窓からの眺めのよさである。全東京が一望できる。ここがレストランなら、この眺めだけでウン千円は確実である。

パスカルさんが遅れるという連絡が入ったので、とりあえず5人でスタートすることにして、まず川崎さんを囲んで手順の打ち合わせ。エプロン姿も凛々しく、さっそく作業開始となった。

上原・北村さんと久留島・矢作さんは今日が初体面らしいのだが、料理が始まると賑やか。友だちの輪、そのものである。


■今回のメニューは以下の通り。
  • キッシュ・ロレーヌ
  • 小笠原産パパイヤとエビのヨーグルトドレッシング
  • いちじくと生ハムのオードブル
  • 手まり寿司
  • オープンサンド
  • スイートポテトの茶巾しぼり(抹茶付き)
    (茶巾しぼりのほかに餡を入れて饅頭にしたものも)



キッシュはすでに完成してメインテーブルの上にのっている。これは川崎さんがフランス留学時代に覚えたものだそうだ。

いま5人が作っているのは手まり寿司である。

「鮭でしょ、炒り卵でしょ、お重の3段目はどうする ?」

「帆立てじゃさびしいよね」

「その上にイクラを乗っけるんじゃ一般的すぎるか」

「わかった ! エシャロットをみじん切りにしてのせよう」

「ようし、できた。これ、ベストだよね」

「うん、これベスト。これを目標に作ろう」
「ねえ、おにぎりみたいになっちゃった」

「味見、味見」

「もう、食べてばっかり !」

「あ、食べたものを戻さないでよ !」

「なんだかワイン飲みたくなってきたね」

「うん、飲みたくなった」

川崎さんが、ぜひ紹介したいものがあるという。小笠原産のパパイヤ、レモン、塩、それからギリシャのオリーブオイルだ。

川崎さん、まるで小笠原から派遣された広報員みたいにそれらの品々の宣伝を始める。

それは川崎さん作成のレシピを参照してもらうことにして、先を急ごう。窓の外は薄暗くなり、早くも街に灯がつき始めたからだ。

川崎さんによれば、今日はテーブルクロスの織物、アールデコの花器、有田焼のアンティークの皿というふうに、漆器のイメージにこだわらずに取り合わせたという。

説明だけ聞くと、異種格闘技という言葉など思い浮かぶが、実際のテーブルには何の違和感もない。俎皿の飾りのカボチャは「ハロウィンが近いから」ということらしい。





窓の外がすっかり夜景に変わるころ、やっと完成。さっそく乾杯となる。

「おいしい !」

「おいしいよね」

「レモンかけるともっとおいしいよ。小笠原のレモンて、皮がほとんどないの」

「このレモン、匂いが違う !」

「なんか、ゆずっぽい」

「去年、小笠原行ったの。船で25時間」

「25時間 ?」

「船泊2泊」

「勇気いるよね」



「おいしい ?」と聞かれても「うー、うー」とうなずくだけの人もいる。のべつ口に食べ物が入っているから、しゃべれないのだ。

「ふだん漆器を使いますか ?」と聞いてみる。

多分だめだろうなと思っていると、意外にも久留島さんが、よく使うという。でも、さらに聞くと、お母様が金沢の出身で、家に輪島塗などがいろいろあるらしい。

「一人暮らしなら使わないと思います」

という言葉にがっくり。

そこへ遅れていたパスカルさんがやっと到着。漆の話に加わってくれた。川崎さんが、

「漆器をアレンジして使うのは、外国人のほうがうまいんじゃないかしら」

と水を向けたのだ。

「そうかなあ。私は毎日使うけど」

一同、「えー、すごーい !」と感嘆の声をあげる。どっちが日本人かわからない。

「そんなにたくさん持っているわけでははないです。10個くらい。自然なところが好きです。中がどうなっているかはわからない。でも、木という感じがします。

いま和食、洋食半々ですが、洋食でも漆器を使います。ナイフやフォークは使いません。箸を使っています。

漆器はめんどくさいところもあります。だから、傷が目立たないようなものを買います。

そして、これはもう惜しげなく使ってもいいと思うものは毎日使います。高価なものは、何かあったときに出して使います。

もしベルギーに漆器を持っていったら、すごく高級なイメージだと思いますね」

最後を外国人のパスカルさんにきれいにまとめてもらったという感じである。


[取材を終えて]

キッシュの純朴で力強い食感に感動しました。その後のいちじくの贅沢な味わいが一層身にしみるようでした。

美しい女性たちが賑やかに料理を作り、大いに食べる、そこに漆器もいちまい加わっている、大変結構でした !

岡崎 保


・・・レシピ・・・
以下、川崎丹奈さんに書いてもらったレシピです。

●キッシュ・ロレーヌ

私が留学していたフランスのアルザス・ロレーヌ地方の料理。たまねぎだけのシンプルなタルト・オニオンもあります。

*材料
 タルト生地:
  • 直径20cmのタルト型1台
  • 小麦粉 200g
  • 卵 1個
  • バター 100g
  • 塩 ひとつまみ
 アパレイユ:
  • ベーコン 8切れ
  • たまねぎ 1個
  • 卵 2個
  • 生クリーム 200cc
  • ピザ用のミックスチーズ 70g
  • 塩、こしょう 少々
  • たまねぎ 1/2個
*作り方
  1. ふるった小麦粉の中央に卵を入れる
  2. 室温で戻したバターと塩を加える
  3. こねずにまとめるように混ぜる
  4. まとまってきたら、丸めてラップに包んで1時間寝かせる
  5. 千切りしたたまねぎとベーコンを炒め、冷ます
  6. タルト型に生地を敷き込み、炒めたたまねぎとベーコンを敷く
  7. 卵と生クリームとチーズを混ぜ合わせたものを 6. の上にかける
  8. 180℃の余熱で温めたオーブンで約50分焼く
  9. 1/2個分のたまねぎを千切りにし、多めの油できつね色に揚げる
  10. 焼きあがったキッシュの真ん中に飾る

●小笠原産パパイヤとエビのヨーグルトドレッシングサラダ

小笠原産のフルーツは同じ東京都でありながら、現地でしか手に入れることができません。私は小笠原に住む友人に送ってもらいますが、小笠原JA (04998-2-2940)から取り寄せることが可能です。

お勧めはレモンと塩です。レモンは小笠原諸島の母島で作られるため、"ママレモン"と呼ばれています。皮が薄く、さわやかな酸味と香りがすばらしいです。本当はもっと青いのですが日に当たりすぎて黄色になってしまいました。。。

塩はミネラルたっぷりの手作りの自然海塩で、まろやかです。
どんな料理にも欠かせない私の一押しです。

*材料 8人分
 タルト生地:
  • パパイヤ 1個
  • ブラックタイガー 16尾
  • きゅうり 1本
  • アスパラガス 4本
  • ヨーグルト 大さじ3
  • オリーブオイル 大さじ3
  • レモン 1/2個
  • 塩・こしょう 適量
  • くるみ 適量
*作り方
  1. えびは殻つきのまま茹でて、皮をむいたら背綿をとる
  2. パパイヤも一口大に切る
  3. アスパラガスは3cmに切り、塩茹でする。きゅうりは輪切りにする
  4. オリーブオイル、レモンを混ぜてからヨーグルトを少しずつ加える。塩・こしょうで味を調える
  5. パパイヤ、えび、アスパラガス、きゅうりに 4. のヨーグルトドレッシングを和える
  6. オーブンで炒ったくるみを砕いて、飾る

●いちじくと生ハムのオードブル

オリーブオイルはギリシア産のオリーブオイルを使っています。日本ではあまり見かけませんが、100%ピュアで大変おいしいです。

*材料 8人分
  • いちじく 4個
  • 生ハム 16枚
  • バルサミコ酢 大さじ2
  • はちみつ 小さじ2
  • レモン 1/2個
  • エキストラバージンオリーブオイル 大さじ3
  • 塩 こしょう 少々
*作り方
  1. いちじくは4等分にする
  2. バルサミコ酢、エキストラバージンオリーブオイル、はちみつ、レモンの絞り汁、塩、こしょうでドレッシングを作る
  3. いちじくを 2. のドレッシングで15分ほどマリネする
  4. 生ハムに巻いてお皿に盛りつける

●手まり寿司

ちらし寿司よりも簡単に作れて、留学時代はよく作りました。醤油よりもレモン、塩でシンプルに頂くほうがおいしいです。

*材料 8人分
  • お米 3合
  • 寿司酢 (酢大さじ5、砂糖大さじ2、塩小1弱)
  • a スモークサーモン 6切れ
  • b 卵 2個
  • 砂糖 大さじ2
  • あさつき 適量
  • c 帆立貝 8個
  • エシャロット 適量
  • レモン 1個(くし型に切る)
  • 塩 少々
*作り方
  1. 炊き上がったご飯に寿司酢を混ぜあわせる
  2. a のスモークサーモンは適当な大きさに切る
  3. サランラップにスモークサーモンを置き、その上にご飯をのせてギュッとねじり、形を整える(大きさの目安はピンポンボール)
  4. b の卵と砂糖で煎り卵を作る
  5. 3. と同じ
  6. 最後にあさつきのみじん切りをのせる
  7. c の帆立貝は横に2等分する
  8. 3. と同じ
  9. 最後にエシャロットをみじん切りをのせる
お好みで塩とレモンでいただく

●オープンサンド
*材料 8人分
  • らい麦パンやフランスパン、全麦パンなどお好きなパン 適量
  • a めんたいこ 3切れ
  • じゃがいも 2個
  • マヨネーズ 適量
  • レモン 少々
  • 塩・こしょう 少々
  • 黒オリーブ 適量
  • b 柿 1個 (季節に合わせて、洋なしやリンゴ、桃もおいしい)
  • クリームチーズ 100g
  • c ツナ缶 1個
  • たまねぎ 1/2個
  • マヨネーズ 大さじ4
  • 和からし 少々
  • アボガド 1個
  • レモン 少々
*作り方
  1. パンはお好みの形と大きさにスライスする
  2. a はゆでたじゃがいもをつぶし、たらこの中身を混ぜてタラモサラタを作る
  3. マヨネーズとレモンはお好みの味つけで。酸味がある方がおいしい。塩・こしょうで味を調える
  4. パンにタラモサラタを塗り、最後にスライスした黒オリーブを飾る
  5. b は室温でやわらかくしたクリームチーズに薄くスライスした柿を飾る
  6. c はみじん切りした後で、水でさらしたたまねぎをほぐしたツナと混ぜる
  7. マヨネーズと和からしをお好みの味つけで。塩・おしょうで味を調える
  8. アボガドは薄くスライスしてレモン汁をかけ、色が変わるのを防ぐ
  9. ツナクリームにアボガドを飾る

●スイートポテトの茶巾しぼり

今回日本が大好きで日本文化にも詳しいベルギー人の友人を招いたので、デザートにお抹茶とスイートポテトの茶巾しぼりとあんこを入れたものの2種類を用意しました。

*材料 8人分
  • さつまいも 400g
  • バター 40g
  • 砂糖 70g
  • 卵黄 1個
  • 生クリーム 1/4カップ
  • バニラエッセンス 少々
  • コアントロー 少々
*作り方
  1. さつまいもは皮を厚くむき、2cmの輪切りにし水につける。
  2. 耐熱皿に水気をとらずに、ラップをかけて電子レンジで加熱。
  3. 熱いうちに裏ごしをして、砂糖を加える。
  4. 室温で柔らかくしたバターを加える。
  5. 卵黄とバニラエッセンスを混ぜ、コアントローを加える。
  6. 生クリームを2、3回に分けてよく練る。(ゆるくなりそうだったら少な目に加減する)
  7. 1つずつ濡れた布巾で包み、茶巾しぼりにする。
*あんこを入れる場合は市販のこしあんを包み、おまんじゅうにする。
表面に溶き卵を塗り、200℃の余熱で温めたオーブンで15分焼く。


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