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中山保夫の「珈琲碗一筋の道」展


「中山保夫の珈琲碗一筋の道」展 案内状より
去年美濃を訪ねた時、ある珈琲店に案内された。味わい深い珈琲に大満足したが、それ以上に印象的だったのが、店内にずらーっと並べられている、様々なコーヒーカップだった。その中で、ひときわ興味を惹く一碗があった。尋ねると「ナカヤマさんのです」という答え。そのカップの形、絵柄、全体の雰囲気がとても素適だった。

上質のカップ&ソーサーと言えばヨーロッパ製が主流で、日本でも多くのブランドが輸入され使われているので、何もいまさら日本の西洋食器をと思われるだろうが、"ナカヤマ"の技術は見るからに高度で、ヨーロッパのものとは一味違った感性を持っている。

そこで、再び美濃を訪ねた。例のカップを作っていたのは中山製陶所という会社で、その代表者が中山保夫さんである。中山さんは、仕事の経緯や、今までに製作したカップの事など、とても丁寧に説明してくれた。それによると、中山保夫さんは、戦後の混乱の中、縁あって窯業に携わることになる。もともとガラス製造技術者だった彼は、釉薬と土の研究開発に取り組んだ。その後1960年に独立し、コーヒーカップ作りを独学で始め、その生地の作り方、絵付け、製法そして転写技術に至るまで、かなりの研究と努力を重ねてこられた。それだけに、製品のオリジナル性や品質の高さには、納得させられるものがある。

いくつか見ていく内に、ガラスケースに納められた一組のコーヒーカップがあった。「実は、今の天皇陛下が皇太子時代に、偶然私共の作品を求められた事があったのですが、そのご縁で、即位される時に、宮中で使うものをとご注文下さったのです。これがその時の作品です。宮中では大切に使われるので、この時の入れ替えが、なんと明治以来とか。」と話してくれた。

研究熱心でのめり込む性格、いつも新鮮な目を持ち挑戦して行く事を恐れない精神性とが、一から始めた仕事をここまでにしたのだろうと感動した。最近では逆に、ヨーロッパの名窯が、その完成度の高さのわけを尋ねに来るらしい。 今回は、中山保夫さんのこれまでの集大成という内容で、カップ&ソーサーを展示いたします。

酉福店主 青山益朗


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